BUSINESS INTRODUCTION

事業紹介/ 車両事業部

01車両事業部

車両事業部では、JR東海が所有する新幹線、在来線車両の検査業務(メンテナンス)を実施しています。
新幹線車両の検査には、仕業検査、交番検査、台車検査、全般検査があり、当社は一番大掛かりな「全般検査」の一部を行っています。
在来線車両の検査には、仕業検査、交番検査、重要部検査、全般検査があり、当社では全ての検査の一部を行っています。
また、各種車両の旅客サービス向上のための改造工事や廃車業務も実施しており、鉄道車両の幅広いメンテナンス技術を保有しています。
※検査車両
・新幹線:N700A、N700S等
・在来線:383系、315系、313系、HC85系、キハ25形、キヤ95系等

鉄道車両の検査周期

検査種類 検査周期 検査内容
新幹線 在来線電車
仕業検査 概ね2日に1度 10日以内 消耗品の補充取替えや集電装置、走行装置、電気装置、ブレーキ装置、車体などの状態および作用について、外部から行う検査。
交番検査 45日または
走行距離6万km以内
90日以内 集電装置、走行装置、電気装置、ブレーキ装置、車体などの状態、作用および機能や電気部品の状態について、在姿状態で行う検査。
台車検査
(重要部検査)
20ヵ月または
走行距離80万km以内

48ヵ月または
走行距離60万km以内
気動車は50万km以内

313系、315系については60ヶ月以内または走行距離80万km以内

走行装置、ブレーキ装置、その他の重要な装置の主要部分を解体のうえ細部について行う検査。
全般検査

36ヵ月または
走行距離120万km以内

N700Sについては

40ヵ月または
走行距離160万km以内

96ヵ月以内

313系、315系については120ヶ月以内

車両の主要部分を取り外し、細部について全般にわたって行う検査。

先頭連結器カバー取付作業

新幹線車両の先頭部には連結器が搭載されていますが、緊急時の救援用であるため、通常は先頭部を覆うようにカバーが取付けられています。時速300km/hの走行でも耐えられるよう、カバーは特殊な素材で作られています。
検査の最後に行う営業線での試運転作業前に、このカバーを当社で取付けています。高速走行で重要な空力にも非常に効果的な部品であり、取付けには細心の注意を払って作業しています。

  • 中間連結器カバー取付
  • 前頭連結器カバー取付
  • 取付後の新幹線車両

車体塗装作業

東海道新幹線といえば、白い車体に青い帯を想像できるかと思います。その塗装は全般検査毎に綺麗に塗り直し(塗装更新)を行っています。
塗装の前段階では、大きな傷に対し補修を行い、車体表面を整えます。塗装自体は最新鋭の塗装ロボットが活躍していますが、塗装部分以外の保護を行うマスキング作業は、作業者の手で丁寧に作業を行っています。

  • 表面補修
  • 塗装マスキング
  • 塗装作業(ロボットによる塗装)

車体側面標記貼付作業

車体の塗装後に、号車標記・禁煙マーク・JR東海ロゴマーク・車体番号を特殊な溶液を用いて貼り付けを行っています。普段は見ることができませんが、屋根上と車体間にも車体情報が記された標記が貼り付けられています。
標記は全般検査毎に行われており、約2年半もの期間一度も貼り直されることはありません。車両にとても強力に貼り付いているため、違った位置に貼り付けると、一から表面補修・塗装をやり直す必要があります。そのため、指定された位置への貼り付けは大小に関わらず、1枚1枚慎重に行っています。

  • 号車標記・禁煙マーク貼付
  • N700Aシンボルマーク貼付
  • 屋根上号車標記貼付

側窓ガラス取替作業

新幹線の車窓に流れる景色は誰もが覗き込んでしまうほどであり、窓ガラスはご利用されるお客様にとって重要な部位となります。よって、小傷等による汚れがあれば、取替えを実施します。
厳しい検査基準を設け、基準に達しない窓ガラスは取替えを行います。また、窓ガラスだけでなく、ガラス周囲のシール材の状態も確認し、悪い場合はシール材の詰め直しを行います。脇役的存在のシール材ですが、新幹線車両の気密性を保持し、車内と外気の気圧差による耳ツン防止に寄与しています。

  • 側窓ガラス取替
  • 窓ガラスシール材取替
  • 表示器ガラス取替

空気調和装置修繕作業

車内を常に快適にしている空気調和装置ですが、1つの車両に2機搭載されています。また、車内の温度管理とともに、室内の換気も同時に行っています。
メンテナンスを行う前に状態を確認し、装置の性能を確認します。各部品は一旦装置から取外し、個々で解体・再組立を行い、消耗部分のメンテナンスを行います。その後、再度装置に組み込んだ後、厳しい検査基準で性能試験を行い、車両に搭載されます。

  • 空調装置内修繕
  • 空調装置再組立
  • 性能および動作確認試験

案内表示器修繕作業

車両には様々な表示器が取り付けられており、ご利用されるお客様への重要な情報が表示されます。各列車情報から広告等、種類は様々です。
検査では、主に動作確認とLED点灯状態確認を行います。点灯状態の確認では、テスト表示画面で正しい色合いで表示されているかを確認し、基準を満たさないものはLED基板ごと一式で取替を行います。

  • 行き先表示器修繕
  • 列車案内情報装置検査

台車関連部品修繕作業

新幹線車両が走行するために重要な部品である台車には、様々な部品が取り付けられており、車輪やダンパ類・電動機関係など、止まる・走るには欠かせない部品ばかりです。
ブレーキ関係装置・動力装置に至る様々な機器があり、当社では車輪とブレーキディスクの組立、動力源となる主電動機の検査修繕、ブレーキの空気圧を油圧に変換しキャリパーブレーキを動作させる増圧シリンダの検査修繕などを行っています。その他にも、大小様々な空気制御部品や車輪の研削も行っており、新幹線車両の足元を支えています。

  • 車輪研削作業
  • 主電動機修繕
  • 増圧シリンダ修繕

車体間取付部品修繕作業

新幹線の車両と車両の間には、高速走行に備えた部品が多数取り付けられています。また、カーブ区間における車体間ならではの“曲がる”に対し、各部品で制御して高速走行を支えています。
加減速時に車両間の衝撃を和らげるため、各種ダンパ類や走行時の騒音を軽減する全周ホロの取り付けを行っています。さらに、ダンパ類の検査修繕も当社で受け持っており、消耗品やオイルの交換等を行い、求められた性能が発揮できるかの確認を行っています。

  • 全周ホロ取付
  • 車体間前後ダンパ取付
  • 車体間ロールダンパ取付

冷房装置修繕作業

ご利用いただいているお客様に快適な車内空間を提供するため、冷房装置を取り外し、冷媒ガスの交換や熱交換器取り替え等を行い、修繕・性能試験を行っています。冷房装置が故障すると、営業列車として使用できなくなることもあり、確実な検査・修繕が求められます。
各部品は一旦装置から取り外し、個々で解体・再組立を行い、消耗部分のメンテナンスを行います。その後、再度装置に組み込んだ後、性能試験を行い車両に搭載されます。

  • 冷房装置取り外し
  • 冷房装置組立
  • 冷房装置試験

パンタグラフ修繕作業

在来線電車の動力源で、直流1,500Vの電源を架線から車両へ安定供給するために必要なパンタグラフを修繕しています。パンタグラフに不備があると電車が走行できなくなることはもとより、架線そのものに影響を及ぼす可能性があるため、入念な検査・修繕を行っています。
そのため、押上力(パンタグラフが上昇しようとする力)等、細かい基準をクリアさせることで、安定した電力供給が行えるようになっています。

  • パンタグラフ取り外し
  • パンタグラフ組立
  • パンタグラフ試験

連結器修繕作業

車両と車両とを繋ぐ連結器の修繕を行っています。
鉄道車両は、運用時間帯・時期・使用線区により車両の連結数を変更して運用しており、そのため車両と車両を連結するための連結器が必要となります。
連結器には車両や取り付け場所によりさまざまな種類のものがあり、それらすべての連結器のメンテナンスを実施しています。連結器を取り外し、修繕・動作確認試験を行い、車両に取付ける作業を実施しています。

  • 密着連結器取外し・取り付け
  • 自動連結器修繕
  • 密着連結器試験

戸関係修繕作業

お客様が乗降されるドアや、乗務員が使用するドアの修繕を行っています。お客様の手に触れる部分なので変形や腐食がないか、入念に確認をしています。
また在来線車両のドアは空気の力で開閉を行っており、ドアの開閉を行っている戸閉機械の修繕も行っています。戸閉機械が故障すると、ドアの開閉ができなくなり、列車遅延や営業列車として使用できなくなる恐れがあるため、入念な検査修繕を行います。

  • 乗務員ドア修繕
  • 戸締め機械修繕

部品修繕作業

電車の動力である主電動機、在来線電車が停止するのに必要なユニットブレーキ、ブレーキやパンタグラフ、扉などを動作させるのに必要な圧縮空気を作っているコンプレッサーの検査修繕を実施しています。
これらの部品は全て、在来線電車が安全に走行、停止するのに非常に重要な機器類であり、各機器が常に正常に動作するよう、メンテナンス作業を実施しています。

  • 回転機修繕
  • ユニットブレーキ修繕
  • コンプレッサー修繕

車体塗装作業

長時間の走行により劣化した塗装面を、新製時のように綺麗にする為に車体塗装を行っています。塗装作業はお客様の目に触れる車両外観につながる大事な作業です。経年劣化により塗装が削れた箇所のパテ埋め、表面加工の後にマスキングをして吹付作業を行います。
車両により塗装箇所の形状も異なっているためそれぞれの車両に合わせた塗装作業を実施しています。

  • 小物部品塗装
  • 塗装マスキング
  • 塗装作業

エンジン修繕作業

気動車と呼ばれる車両の動力であるディーゼルエンジンを修繕しています。
エンジンは車両ごとに様々な形式のエンジンが搭載されているため、それぞれのエンジン形式に合わせた修繕作業を実施しています。
エンジンを分解し、隅々まで綺麗に清掃した後、多数の部品を使用して組み上げます。組立後は試験を実施し、各部の調整を行い、試験後には配線の整備や保護カバー取付を行います。

  • エンジン組立
  • エンジン動作試験
  • エンジンぎ装

下廻り作業

下廻り作業では、検査の為に工場へ入場してきた車両を専用牽引車にて定置場所まで移動させた後、リフティングジャッキと呼ばれる機械により車両を持ち上げ、車体と台車を切り離す作業を実施しています。車体と台車を切り離した後は、車体にとりついた各種機器類・エンジンなどの取り外し作業を実施しています。非常に大きな部品類を取り扱う作業のため常に安全を最優先とした作業を実施しています。

  • 車両移動作業
  • 車体上げ作業
  • エンジン降ろし作業